金融経済活性化とトリクルダウン

むくです。やはり例によって、試合後の風邪を引いています。10年間改善が全く見られないですね…。
さて、最近気になっていることは、経済の活性化と国民生活の改善は、今、果たしてリンクしているのだろうかという話です。あんまり深く洞察出来ていないので、シンプルに書いてみたいと思います。
今、世の中全体として、経済が活性化すれば、国民生活も改善するという考え方で世の中やマスコミがやいのやいの言ってるように思います。
ここで、経済の活性化というのは、経済界(各企業)にたくさんのお金が流れ込み、それが速いサイクルで複数の企業間をぐるぐる回転することをいうと思います。例えば、2人の人がいて、その間に1万円札が1枚あったときに、1ヶ月の間に5回しか二人の間を往復しなければそれぞれ月に5万円しか使えないけど、これが50往復すれば月に50万円使えるようになるわけですから。
ところが、これが国民生活(貧困社会)の改善に繋がるためには、1万円札が企業の末端社員の手の上を通ってぐるぐる回転しなきゃいけないんですよね。社長と社長が二人でぐるぐるしてたって、末端社員は1ヶ月に使えるお金増えないわけですから。つまり、経済が活性化すれば、国民生活も良くなるという考え方が成立するためには、会社と会社の間でたくさんのお金が「末端社員の手を通じて」ぐるぐるしなきゃいけない訳なんですよね。会社がたくさんお金を使えたって、末端社員が自分でお金を使えなきゃ、他人事に過ぎませんから。
ところが、今は会社に大きなお金を流れこませる仕組みとして、株式投資が占める割合が高まって来ています。会社としては、ここに着目して、より大きなお金を流れ込ませるために、株主への配当率を高めることに力を注いでいませんかね。「お金をうちの企業にぐるぐる入れてくれたら、あなたにもお金をぐるぐる戻しますよ〜」ってな訳です。だとしたら、会社に流れ込んだお金で会社が儲けても、そのお金は社員の手を通ることなく、会社から直接株主の手にぐるっと戻っちゃうようになっちゃってるんじゃないかと。
とはいえ、取締役なんかの上層部は自分の腹を痛めてまで、株主にぐるっとしたいとは思わないですから、偉い人の収入は減らない、むしろ、会社が大きなお金をぐるぐる出来ているので自分たちで「良くやった」って感じで上げちゃえるわけです。これで結局格差社会が生まれちゃうんですよね。
規制緩和規制緩和と叫ばれていて、一般市民の人が「既得権を持った奴は許せん、競争の波にさらされやがれ」という論調になるのを見受けますが、ひょっとしたら、それは自分の首を絞めているのかもしれません。規制緩和は弱肉強食の世界に近づくことで、弱肉強食の世界では、弱者は食われ、食った強者はさらに強くなります。ある面では規制を加えて弱者を守り、ある面では規制を緩和して自助努力のインセンティブを高める、この二つをうまく使い分けていかないといけません。
当たり前のことなんですが、極論に走りがちな世論・マスコミ・古館などに流されるとつい忘れてしまいそうになることです。